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2009年は仕事・体調共、最悪の年であった。 実は,2008年からその兆候はあったのだが。 特に心身は甚だ(はなはだ)優れず「戻ってきた」と思えたのは夏が盛りを迎えた頃であった。 ここまで「心身」共に落ち込んだ経験がなかったので,戻ってきた時には大変安堵したものだ。 一時は「このままなのか」という恐怖感に苛まれ続けていた。 この時期自分の拠り所となっていた言葉が「武士は食わねど高楊枝」だ。 本当に全ての事に余裕のない時にこそ,この言葉の真価が発揮されるのだと、そう思っていたからだ。 「もしかすると,こういった種類の恐怖感が続くと、人間は死の方へと近づいていくのかもしれないな」 そんな事をぼんやりと考えながら,僕は日々を生きていたのだ。 何がきっかけで少しづつ浮上していったのかは分からないのだが,ただ「必ず戻る」と強く想い続けていた事だけは確かだ。 荒療治となったのは,8月&9月のイベントであった。 僕の声は,身体は、何とか、この計5日間のステ−ジに間に合ってくれた。 逆に言うと,この5日間があったからこそ、僕は戻って来られたとも言える。 沢山のオ−ディエンスからのエネルギ−を全身に浴びて,僕は「浄化」されたのだ。 悪い部分は,信じられない量の汗となり、流れ出ていった。 そして再び僕は,あのステ−ジに立つ。 それも今回は「武道館」 高校野球球児が「甲子園」を目指すように。 プロテニスプレイヤ−が「ウインブルドン・センタ−コ−ト」に立つ事を夢見るように。 陸上の長距離走者が「箱根駅伝」を翔る自分の姿を夢想するように。 僕が若い頃なれると信じていたシンガ−の道の延長線上にいつもあった存在。 多分それを志す人間全ての夢舞台であった「武道館」 特別な響きを奏でるその名前を聞くと,何故か胸がザワめき、甘酸っぱいものが自分の中に溢れ出してくるのだ。 明るい未来しか自分の前には広がっていないと思っていたあの頃。 現実よりも「夢の力」の方が遙かに勝っていた,あの頃。 これは夢ではない。 そう,自分の足でその舞台を踏みしめるのだ。 「唄う」という行為ともう一度,相対(あいたい)しながら、彼の地へと降り立つのだ。 ここから一年を始められるというのも何かの縁(えにし)かもしれない。 全ての事柄に対して「リベンジ」の年でもある。 身に纏うものは用意万端整っている。 後の問題は,それに恥ずかしくない「己自身」を生きられるかどうか。 必ず・・・ 耐えた日々を糧に「我,高らかに吼えん!」 2010/元旦 |
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